まさかの HONDA オーディオ初参入!「LiB-AID E500 for Music」
「for Audio」と言わないのが奥ゆかしい? HONDAのリチウムイオン蓄電池
HONDA「LiB-AID E500 for Music」(オーディオ用ポータブル蓄電池)
CDが販売枚数でアナログレコードを上回ったのが 1986年ごろ。当時まだ高価だったオーディオCDプレーヤーは、薄給の若者には手が届かず、CDの音質を確かめることもないまま『データが欠落しないCDはレコードより音がいい』という世間の評判を鵜呑みにして、オーディオ熱をすっかり冷ましていました。ところが、それからしばらくすると、電源の影響でCDの音は激変するとか、ピックアップメカの振動が音をよごすだとか、いろいろとCD機器の問題点が顕になりはじめました。にわかには信じられませんでしたが、失われていたオーディオへの情熱が蘇りはじめました。初めてCDプレーヤーを購入したのは1991年、 ESOTERIC X−1でした。レコードのようなノイズはありませんでしたが、レコードの音楽の実在感のようなものは薄かった。CDプレーヤーの音質も、実は電源などのアナログ部分に支配されている、というわけです。アンプの電源部の音質への影響は、電池駆動のDCアンプを自作をして使っていたので実感していましたが、読み取り誤差がないはずのデジタル機器にもその影響がある。現在では当たり前のように語られることですが・・・。
抽選申し込みの案内と同時に LiB-AID E500 for Musicの試聴会の案内もあり、こちらも申し込みました。なにせベースモデル 「LiB-AID E500」は実売88,000円、それに比べると「LiB-AID E500 for Music」の売価はかなりの高額。効果を確認せずには購入に踏みきれません。
試聴会当日は氷雨降りしきる悪天候でしたが、会場は満員の盛況で講師は「福田 雅光」さん。 LiB-AID E500 for Musicは出力が300Wと小さいため、HONDAではプリアンプやCDプレーヤーなど低出力機器の電源としての使用を推奨しています。試聴会では最初にCDプレーヤーの電源として試聴しましたが、一聴して効果が確認できました。途中、ベースバージョンの「LiB-AID E500」に差し替えての試聴もおこなわれ、 LiB-AID E500 for Musicの良さを確認することができました。最後には講師の「福田 雅光」さんの悪ノリで、パワーアンプの電源としても試聴。それなりの効果を確認することができました。ただ、パワーアンプでは使用時間がかなり短縮されるとのことで、実用的ではないようです。
さて、自宅での音出しです。最近は優れたオーディオアクセサリーに出会うことが増え、この LiB-AID E500 for Musicでの音出しもワクワク期待が高まります。プリアンプ EAR 912の電源ケーブルを差し込んでの試聴です。
はじめに試聴したのは、過日「吉祥寺MEG」で行なわれた、アスカオーディオの調音ボックス 韻(HIBIKI)の試聴会で使用されていた、イーグルスのアナログ盤「EAGLES hell freezes over」から名曲「hotel callifornia」。・・・、ライブ会場の再現性がすごい!いいです。もともとかなりの音質で聴けるレコードでしたが、出だしのギターフレーズが小気味よくエクスタシー!ドラムやパーカッションの響きが重たくならずに生々しい。「ドン」と叩いた音とそのあとに響く低音の余韻がちゃんと空間に広がる。ボーカルの英語の発音がぐっと明瞭になって耳に届く。拍手や指笛につつまれライブ会場が熱狂する空気感、臨場感が LiB-AID E500 for Musicの効果でさらに鮮明に感じられる。
つづいて、同じ「吉祥寺MEG」で使われたレコード「jazz at the Pawnshop」の一曲目「LIME HOUSE BLUES」。「質屋」の愛称で呼ばれる超優秀録音盤で、レコードと192khz24bit のハイレゾデータも所持しているリファレンスアルバムだ。 LiB-AID E500 for Musicを使って聴くと、ライブのザワツキが抑えられて場内が静かに感じる。暗騒音みたいなノイズが減ったということか?通常のボリューム位置だと音が小さく感じられ音量を上げるが、少しもうるさくなくフルート、ビブラフォンほか、それぞれの楽器がさらに見通し良く空間にうかびあがる。「吉祥寺MEG」で試聴したのとは別のレコードのようだ。
つぎは、最近リファレンスレコードの仲間入りをした、イザベル・ファウストの「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ」6枚組のレコード。もともと3枚組だったのを贅沢に6枚組にしたもので、45回転盤のように外周部分にだけカッティングされた、贅沢なオーディオファイルレコードです。このアルバムも先ほどのイーグルスと同様、レコーディングスタジオの空間表現、音の広がりと奏者の存在感が LiB-AID E500 for Musicを使用することで、さらに際立って感じられました。イザベル・ファウストの奏でる昂然たる演奏に、エクスタシーです!演奏が素晴らしいレコードは、ついつい聴き惚れてしまい、オーディオとしての試聴の姿勢をうっかり忘れて聴き終えてしまうことがありますが、このレコードもそんな優れた作品です。録音されたベルリンのテルデックスタジオは、写真を見る限りそれなりの容積があるようだが、その広さを充分に感じられる空間が再現されます。ファウストの生々しい息づかいやバイオリンの響きが広がり、スタジオ録音というよりライブ演奏を聴いているかのような見通しのよい空間が浮かびます。
最後にもう一枚、これも演奏が凄すぎて、オーディオチェックにならないことが度々の名盤。和題「スーパー・ギター・トリオ・ライブ」、アル・ディメオラ、パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリンの三人によるライブ演奏「FRIDAY NIGHT IN SANFRANCISCO」の一曲目「地中海の舞踏/広い河」。音楽ジャンルの好みなど超越した名演奏だ。アル・ディメオラ、パコ・デ・ルシアのデュオギターバトルとでも言うような超絶演奏で、ふたりのギターのキレがとにかく凄い。 LiB-AID E500 for Music使用による効果は、演奏の熱気をさらに熱くしてくれる。会場の広さがさらに広大になって、観客のひとりになってエキサイトしているようだ。試聴したレコードは、CBSソニー日本盤のサンプル盤で、オリジナル盤や45回転盤ならもっと凄い再生が期待できるはず。
LiB-AID E500 for Musicにはコンセントが2つあるので、ターンテーブルの電源をここからとって聴いてみました。使用しているターンテーブル Tien TT-3がACアダプターを使って低トルクのDCモーター3つを駆動しているためか、プリアンプで感じたほどの音質への影響は感じられませんでした。試しに試聴会のときのように、ウーハー用のパワーアンプの電源も挿してみたのですが、プリアンプで実感した効果は感じられませんでした。やはり、プリアンプをノイズのない別電源に分離したことで効果があらわれたみたいです。
LiB-AID E500 for Musicに使われているバッテリーはリチウムイオン電池。同じリチウムイオン電池を使用したオーディオ用蓄電池には STROMTANKがありますが、いちばん小型の S2500 Quantumでも、重量55kg・480角もあるシロモノで、当方のリビングルームには設置スペースがありません。たぶん持ち上がらないし腰を痛める。しかも400万近い価格であり、蓄電の前に蓄財が必要です。
余談ですが LiB-AID E500 for MusicにはUSBコンセントもついているので、災害など長期間の停電発生時にはスマホの充電などでも重宝するかもしれません。
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