オーディオ・エクスタシーを味わう大人の玩具(おもちゃ)

 

エール音響4ウェイマルチアンプシステムでアナログオーディオの悦楽にひたる。

2019年12月現在のオーディオシステム

いろいろあって、しばらくオーディオから遠ざかっていました。音楽をゆっくり聴くゆとりを持てない時期に、心臓の持病が悪化して治療を受けました。生まれてはじめての手術で人生ではじめて「死」を意識しました。そんなとき、Eテレ「高田純次の世界の哲学者に人生相談」の「ハイデカー」篇を視聴して、過去や未来に捕らわれて生きる「通俗的時間」ではなく、今という瞬間しかない「根源的時間」、「あらかじめ死を覚悟して生きる」という哲学に心を洗われました。
 
自身の病気をきっかけに「ハイデカー」を学び、「死」を今あることとして捉えられる気構えが生まれました。「明日死ぬかもしれない、と考えて今を精一杯生きる」そんな覚悟で、50年近く続けてきたオーディオを復活させたのです。次第にゆっくりと音楽にひたれる落ちつきもうまれ、以前にも増してオーディオを愉しんでいます。
 
現在のこのシステム、エール音響ホーンスピーカーシステム以外、アナログターンテーブル、カートリッジ、プリアンプ、チャンネルディバイダー、パワーアンプすべてここ数年で全部変更しました。デジタル再生システムに至っては、以前は存在すらしなかったものです。
 
レコードプレーヤーは昨年導入したばかりの台湾メーカー 「Tien Audio」「TT3」です。 「TT3」には 「Viroa」というカーボン製の純正アームがついていますが、長年使用していた 「CEC FR-XL1」に取り付けていた 「IKEDA IT-407」を、特注のデュポンコーリアン製アームベスに取り付けて使用しています。
 
カートリッジは色々ありますが、現在メインで使用しているのは、これも最近導入した 「アスカオーディオの特注MC型」です。型番がありません。人造ダイヤモンドカンチレバーに特殊形状の針がついています。鉄心入りMCですが、鉄心の力強さと空芯の繊細さを併せ持ったすばらしいカートリッジです。このカートリッジ、カンチレバーが帯電しないということで、再生していてもホコリが纏わりつきません。
 
ヘッドアンプを使用しています。これも最近導入した 「FIDELIX LIRICO」です。バッテリー駆動で入力インピーダンスが1GΩという製品。以前はこのあとに紹介するプリアンプ 「EAR 912」のMC入力を使用していましたが 「FIDELIX LIRICO」を導入後は、その音の良さにすっかりメイン機器となりました。10万円(税抜)という価格を考えると、コスパが凄すぎます。
 
プリアンプは前述した 「EAR 912」です。初めて購入した真空管式のアンプです。変更前は 「MARK LEVINSON No326S」を使用していました。40年くらい前にECC83を使った真空管式プリアンプを自作したことがありました。そのとき以来の真空管式プリアンプです。とにかく音楽が生き生きと鳴ります。演奏の感動が再現されます。ただし残留ノイズは多めです。
 
マルチアンプシステムの要であるチャンネルディバイダーは 「TRINOVE magnitude 32-88」です。導入前は 「BEHRINGER DCX-2496」を2台使っていました。BEHRINGERにはチャンネルディバイダーとカテゴライズされた製品がほかにあるのですが、 DCX-2496はとにかく多機能で結果、使いこなせなかったみたいです。 「TRINOVE magnitude」については「 デジタル、アナログを救う」と題してサイトで詳しく紹介していますのでそちらをご参照ください。
 
パワーアンプは、たぶんマニア的にはかなりバランスの悪いものです。ユニット1つで100万近くするエール音響の特注オールパーメンジュールユニットを駆動しているパワーアンプは 「thomann S-75mk2/S-100mk2」です。一台3万円のステレオパワーアンプです。マンションのリビングルームの一隅にシステムを設置しているため、機器を配置するスペースが限られ、マニアの方たちが使用しているような、立派なアンプをステレオで4台も設置することができないのです。
 
導入前は 「FIDELIX CRENATE」を使っていました。私のシステムでは後述するスピーカーシステムが、高能率のホーンスピーカーとコーン紙を使ったウーハーを組み合わせていて、その能率差が30~40dbもあり、ボリュームがあるパワーアンプの方が適切な出力調整のために便利なのです。 「FIDELIX CRENATE」もボリュームつきで、小型で、XLR入力を備えた私のシステムに最適な製品でしたが、どうしてもうまくエール音響スピーカーを鳴らすことができませんでした。 「thomann S-75mk2/S-100mk2」の導入により、想像以上にエール音響スピーカーが鳴ってくれるようになりました。高音・中高音・中低音に 「thomann S-75mk2」を、低音用には若干出力の大きい 「thomann S-100mk2」を使用しています。ボリューム付きでXLR入力を備え、サイズも4台でちょうど大型のハイエンドアンプ1台分くらいでラックに収まります。
 
スピーカーシステムは、低音部が 「AUDIO NOTE 2001-38W」38cmウーハーを750×800×650の特注桜材ボックスに入れたもの、中低音が 「エール音響 7550 オールパーメンジュール特注ドライバ+折曲げホーン」、中高音が 「エール音響 4550 オールパーメンジュール特注ドライバ+YL CO-800ホーン」、高音が 「エール音響 1750 オールパーメンジュール特注ドライバ+ステンレスくり抜きホーン」です。
残念ながら専用のオーディオルームは夢のまた夢、マンションのリビングルームに無理やりオーディオシステムを設置しているため、ウェブで散見される超マニアの皆さんの、低音部までホーンドライバを使った完全なるオールホーンマルチスピーカーは実現できません。
 
TRINOVE magnitude 32-88」によるクロスオーバー周波数は、バターワースフィルタで180Hz・800Hz・8000Hzくらいです。「くらい」と、いい加減なのは、実際にはそれぞれのユニットのクロス周波数を同一に設定していないからです。たとえば中低音と中高音のクロス800Hzは、中低音のハイカットが1000Hzで中高音のローカットが750Hzというように、それぞれのクロス点での周波数を微妙にズラしています。これは 「TRINOVE magnitude 32-88」の専用マイクによる音場補正機能の結果を眺めつつ微調整しているためです。一度でもスピーカーの再生周波数を測定してみれば分かりますが、実際の再生周波数やクロスオーバー周波数は、そんなにきれいなかまぼこ型をしていません。山あり谷ありの八ヶ岳状態です。部屋の定在波の影響で、とんでもなく深い谷ができたりもします。
 
 
このほか、デジタル再生には、DAC に 「CORD DAVE」を、ネットワークプレーヤーには 「iCAT AVC-E73L-4K HDD4TB」を使用。再生ソフトに 「ROON+HQPlayer」を使って、PCとiPadからコントロールしています。
 
以上が、2020年1月現在のオーディオシステムの概要です。
 
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